上場企業の経理はキツイ?上場企業2社を経験した現役経理マンが解説します

上場企業の経理は、四半期ごとの決算や外部監査対応など、多忙で高い専門知識が求められます。

非上場企業に比べ、業務量が多く複雑な面も多いですが、その分、スキルアップやキャリアの成長に直結する仕事が豊富です。

この記事では、上場企業2社を経験した現役経理マンが、上場企業の経理が「キツイ」と言われる理由や、その実態について詳しく解説します。

上場企業とは?

上場企業とは、証券取引所に株式を公開している企業です。

上場していると、一般投資家も企業の株式を購入・売却しやすい状態です。

起業としては、上場することで株式を発行して資金を調達し、事業を拡大したり、新しいプロジェクトに投資したりすることが可能になります。

上場企業には、証券取引所の規則に従って、

  • 財務情報の公開
  • コーポレートガバナンス(企業統治)の強化

が要求されます。

上場企業は東京証券取引所(東証)などの取引所に上場しています。

主に「プライム市場」や「スタンダード市場」といった分類がされています。

上場企業の経理の特徴は?

開示

上場企業の経理における大きな特徴は、投資家や株主に対する財務情報の開示義務です。

ニュースで耳にする大手企業の「決算発表」は、開示業務の一例です。

上場企業では、通常年に4回、

  • 決算短信
  • 有価証券報告書

といった企業の経営成績や財政状態等を記載した書類を作成し、世間に公表しています。

これが、上場企業の経理の重要な役割です。

監査対応

上場企業は、決算書の発表前に外部監査法人による厳格な監査を毎回受ける義務があります。

監査とは簡単に言うとチェックのことです。

公認会計士を中心とする監査法人は、財務諸表にお墨付きを与えます。

決算を行うのは企業の経理部であって、監査法人が決算を行うわけではありません。

なぜこの外部監査人からのチェックが必要かというと、以下のようなリスクが生じる可能性があるからです。

  • 不適切な業績報告がされている
  • 利益が過大計上される

このような状況では、株主が安心して株を買ったり、会社に投資することが難しくなります。

経理部門は、監査の準備として各種財務データ、資料やそれぞれのエビデンスの提供を行います。

また、決算前・決算中と監査法人からの細かい質問対応も行う必要があります。

上場企業の経理では、四半期ごとに、決算とセットで監査対応を行う必要があります。

上場企業の経理がきつい理由

人のレベルが高い

上場企業で経理を担当する場合、日商簿記1級レベルの知識が求められることが多いです。

補足すると、入社前に必ずしも日商簿記1級の資格が必要というわけではありませんが、業務を通じてそのレベルの知識を身につける必要があります。

実務経験を重ねる中で、自然と高度な知識が求められる場面が増えていくため、働きながらスキルを磨くイメージです。

非上場企業の場合でも、日商簿記1級レベルの知識が必要になる取引は存在しますが、上場企業ではそのような取引がさらに頻繁に発生するため、経理として高い専門知識を持つことが重要になります。

上場企業を目指す理由として、高い知識が求められる環境で働きたいと考える人が多いです。

上場企業で経理として働くと、意欲の高いプロフェッショナルと一緒に仕事をする機会が多く、切磋琢磨できる環境が整っています。

この環境が合うかどうかは、あなた自身の仕事に対する価値観次第です。

高いレベルの経理知識を習得し、成長したいと考える方にとっては、上場企業の経理業務は非常に魅力的な選択肢と言えるでしょう。

決算が高頻度

上場企業では、3ヶ月に1回、つまり四半期ごとに決算を行う必要があります。

これは、前述したように、四半期ごとに開示資料を提出する義務があるためです。

一般的な非上場企業では、年に1回の決算を行います。

税務の調整もほとんど不要といった企業もあるでしょう。

上場企業では非上場企業の4倍の作業量があるとは言いません。

しかし、上場企業経理部の仕事のボリュームは非常に多くなることが想像できるでしょう。

上場企業の経理のメリット

スケールの大きな経験

上場企業は、非上場企業に比べて、経理業務は非常に複雑で仕事量が多いです。

例えば、

  • 連結決算
  • 有価証券報告書作成
  • 国際会計基準(IFRS)への対応

といった、より高度で専門的な業務を経験することができます。

その結果、経理スキルが大幅に向上します。

待遇がいい

上場企業は一般的に安定した経営基盤を持っています。

従業員に対して、高い収入や手厚い福利厚生が提供されることが多いです。

また、企業の成長とともに自分のキャリアも積み上げることができ、長期的な視点でのキャリア構築が可能です。

上場企業の経理職は、他の企業に比べて待遇が良い傾向にあります。

特に大手JTCは年功序列であることが多く、実力云々ではなく、年次が上がるごとに厚遇されることが多いです。

また、ボーナスや賞与の支給額が多い場合も多いです。

さらに、福利厚生が充実しているのも上場企業の特徴です。

私も大手に転職して痛感しましたが、資格取得をはじめとするスキルアップ支援、育児休暇や健康管理を支援する制度が充実しています。

上場企業の待遇の良さは、経理にとってもキャリアの安定や将来設計に大きなプラスなのです。

キャリアアップの機会

上場企業での実務経験は、非常に需要の高いスキルとなっています。

転職の観点から見ても、上場企業から非上場企業への転職は比較的容易です。

逆に、非上場企業から上場企業へ転職するのは難しいケースが多いです。

これは、上場企業で必要とする知識や経験が高度で専門性が高いためです。

そのため、できるだけ若いうちに、上場企業での実務経験を積むことは、キャリア戦略上重要と言えるでしょう。

まとめ

上場企業の経理は、四半期ごとの決算や監査法人対応など、非常に多忙で専門性の高い業務が求められます。

特に、連結決算や有価証券報告書作成、IFRS対応といった複雑な作業が多く、非上場企業と比べて業務量が増加します。

しかし、その分スケールの大きな経験を積み、経理スキルを大幅に向上させることができるのも魅力です。

また、待遇が良く、キャリアアップの機会も豊富なため、成長を目指す人にとっては魅力的な環境です。

ぜひチャレンジしてみましょう!

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